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2019年6月18日 (火)

凧の糸

 

気持ち良く風を受けて泳ぐには、

風を感じるには、

自分に

何らかの支点・テンションが必要だ。

 

単純に好きで楽しい事であれば、

負の気持ちや恐怖心など無く

どこまでも高く舞い上がり、飛ぶことができるが、

向かい風を受けて飛ぶには、

飛び続けるには、

自分を繋ぎとめ

引っ張ってくれる何かが必要だ。

 

その、向かい風に応じた強さの。

 

仕事の遣り甲斐なのか、目標なのか、

負けん気なのか、

家族なり、大切な誰かの為の踏ん張りなのか。

趣味趣向への拘りなのか、

人生に対する自分なりの美学なのか、

『 お天道様が見ている 』 的な感覚なのか・・・

そこは、人其々

色々あろうが、

自分を保つには、

自分を繋ぎとめる 『 凧の糸 』 が必要なのだと思います。

 

 

強風に遭った時、

自ら 『 飛ぶことを止める 』 選択が出来た人は良いのだが

 

時として、

向かい風に目一杯吹かれて立ち向かった末に、

本人の意思に反して、又は意識の外で

『 糸が切れてしまう 』 人がいる。

 

気付いた時には、

風に揉まれて 

どこまで落ちるのか、

木の枝にでも引っ掛かるのか、

自分では

思う様にコントロールできない。

 

 

 

今夜、

とある仕事の取引先の担当者から電話があり、

「○○さんが心の病になっちゃって、いつ戻ってくるかわからないから

 彼が受け持ってた仕事は私が引き継ぐので、

  できるだけ情報を教えてくれませんか?」

とのこと。

 

「何かあったんか?

  何かきっかけがあっての反発じゃないんか?」

と、色々聞いてみたが

特別これといった出来事などなく、

いつの間にか徐々にそうなってしまったのだと言う。

 

そういった病院にかかり、

医師から診断が出て病名が付いている。

思ったより重症な状態みたいだ。  

 

 

二週間前位に、

大した用事はないのに

雑談しに弊社へ立ち寄った事があって、

明らかに元気が無いのは感じていた。

今思えば、、、であるが。

その次週も打ち合わせで会ったが、

仕事は以前と変わり無く丁寧に、問題無くこなしていた。

 

彼の勤める職場では

この4月に少々大きな人事異動があって、

社内の雰囲気や人間関係、パワーバランスが

流動的になっている。

その辺りが遠因だとは

なんとなく察しがついた。

 

実は彼は、一つの部署をまとめる

頭に立つ人物だったのだが

その、人事的風向きがあまり良くない事は聞き知り至っていた。

 

 

悪い人物ではない。

愛妻家で、どちらの親にも優しく

家庭的には痴呆の親を看ていたりで

苦労を知る人物だ。

  

 

ただ、

組織で出世し人を押しのける者は

往々にして、いわゆる 『 性格が悪い 』 『 嫌われ者 』 であることが多いが、

彼は、それとはちょっと違っていた。

 

 

雑談に立ち寄った時、

「 Fumi さん、今度都合のいい時にカヤックご一緒させてください。

 ぜひ誘ってくださいね、お願いします。」

と言われていた。

あれは、何気に

あの人が発した SOS だったのだろうなぁ。 

今思えば。

 

「今のところ空いてるのは第三週の日曜日か・・・

 第四週末は山の友達に会うから、、、

  ご一緒できるのは7月以降になっちゃうかもですけど、

   海はねぇ、天気が晴れでも波風あったら出られないし、

   たいてい判断は前夜になっちゃうので

    急な電話になると思いますが、

     電話しますよ。^^」

と、答えていた。

 

結局、第三日曜は極めて悪天で、

誘えるのは7月以降だなぁ・・・ と思っていたら、

今夜の電話。

 

この週末誘えていたら、

一緒に浜で酒でも飲んで

海見ながら会話ができていたら、

なんかちょっと変わっていたのかな。。。 

 

やるせなさと、後悔。

 

 

彼はまだ下の子が中学生。

長男は県外の大学へ在学中の筈。

仕事を休んでいる場合ではないはずだ。

 

それでも

彼は、

切れてしまった自分の糸を

自分で結ぶことができないのである。

 

御本人と、

奥様と、

家族達の心、状況は、

察するに

余りに余りある。

 

 

 

天気の良い週末が巡ってきたら

海へ誘おう。

彼が早く戻ってこられるよう、

一緒に糸を手繰り寄せて

結ぶ手伝いが出来ればなぁ。。。

と、

思うのは、

私の自惚れで

要らぬお節介なのかもしれない。

 

が、

遣らないよりは、

後悔しないのかな・・・

などと、

葛藤している。

 

 

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