入社後2年の下っ端だった私が結婚した当時、
自分が所属する小さな会社の上司と対峙して
変えさせた事が
大きく二つある。
一つは、
『 有給休暇 』 という概念すら無かった会社に
その制度を創ってもらった事。
これは、私が堂々と新婚旅行へ行く為に
社長に掛け合って許可を貰った事が始まりです。
当時は、
『 三六協定 』 や 『 年間休日105日 』 なんて最低ラインの事すら
会社の経営者がまともに意識していないような時代で、
私が勤める様な小企業では、
歯車が自己都合で休みを貰うなんて事は
相当勇気が要る要求で、
まあ、社員がそんな事上司に言うなんて
在り得ないような空気が存在していた。
もう一つの大きな変革が、
給与明細に 『 家族手当 』 を創ってもらった事だ。
この事には、
私自身
大きなこだわりがある。
結婚当時、
経理を取り仕切っていた専務(取締役)に
「家族手当は無いのですか?」 と聞くと、
「なんでそんなモン必要なんや!?
お前に家族が出来ようが、そんなもん会社に関係無いやろ。
嫁さんが会社に来て仕事する訳じゃねぇし、
結婚したってお前の仕事の能力が変わる訳じゃないやろ。
第一、どうせ共働きなんやろし、
なんでそんなモン(手当て)出さなアカンのや。」
と、返された。
あの時の口調も、彼の表情、雰囲気も、
非常にリアルに憶えている。
かなり、相~当~、他人事で
ムカついた言い方だったので。
当時から職場は、
連日連夜遅くまで残業したり
翌日の現場都合で早出したりなんてのは当たり前だった。
妻は、
早起きして弁当を作ってくれ、
毎日帰りが遅い夫に代わり家の中の一切をしてくれ、
必然、後には、子育ても妻にその殆どの負担が掛かる事となった。
そんな家族の支えがあるからこそ
会社・仕事というものに対して
社員が存分に力を揮えるのだという事を、
会社の経営者が考えてもいなかった事に、
理解しようとする態度すら無かった事に、
まあ、
立腹し、呆れたものです。
それでもそうして、
私の訴えに応じて、
給与明細には家族手当の欄が作ってもらえました。
三十年近くが経った。
今も尚、
この小さな会社は
連日連夜残業早出でギリギリ回っている。
その事自体は決して誉められた自慢出来る事ではないが、
それでもなんとか続けていられるのは、
ボスが守ってきてくれた伝統でもある
『 残業も休日出勤も100%つける 』 という、当たり前の事が、
内助の功として支えてくれる存在の人を納得させている
というのが、大きな大きな一つの要素であることは
間違いありません。
弊社は、
キツイけど、
ブラック企業ではないんだと思っています。
社員を大切にするという事は、
その家族も含めて思うことです。
『 家族手当 』 というのは
金銭的な事だけではなく、
その言葉そのものの意味です。
会社側に、上司に、
その気持ちが在るという事が
本当に大切な事だと思います。
私はいわゆる
『 現場叩き上げ 』 なので、
仕事というものは
数字上の損得だけではない事をよく知っています。
人の心、気持ちに鈍感な人間は
好きではありません。
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