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2020年12月 2日 (水)

家族への手当て

 

入社後2年の下っ端だった私が結婚した当時、

自分が所属する小さな会社の上司と対峙して

変えさせた事が

大きく二つある。

 

一つは、

『 有給休暇 』 という概念すら無かった会社に

その制度を創ってもらった事。

これは、私が堂々と新婚旅行へ行く為に

社長に掛け合って許可を貰った事が始まりです。

当時は、

『 三六協定 』 や 『 年間休日105日 』 なんて最低ラインの事すら

会社の経営者がまともに意識していないような時代で、

私が勤める様な小企業では、

歯車が自己都合で休みを貰うなんて事は

相当勇気が要る要求で、

まあ、社員がそんな事上司に言うなんて

在り得ないような空気が存在していた。

 

もう一つの大きな変革が、

給与明細に 『 家族手当 』 を創ってもらった事だ。

この事には、

私自身

大きなこだわりがある。

 

結婚当時、

経理を取り仕切っていた専務(取締役)に

「家族手当は無いのですか?」 と聞くと、

 

「なんでそんなモン必要なんや!?

 お前に家族が出来ようが、そんなもん会社に関係無いやろ。

  嫁さんが会社に来て仕事する訳じゃねぇし、

  結婚したってお前の仕事の能力が変わる訳じゃないやろ。

   第一、どうせ共働きなんやろし、

   なんでそんなモン(手当て)出さなアカンのや。」

と、返された。

あの時の口調も、彼の表情、雰囲気も、

非常にリアルに憶えている。

かなり、相~当~、他人事で

ムカついた言い方だったので。

 

当時から職場は、

連日連夜遅くまで残業したり

翌日の現場都合で早出したりなんてのは当たり前だった。

妻は、

早起きして弁当を作ってくれ、

毎日帰りが遅い夫に代わり家の中の一切をしてくれ、

必然、後には、子育ても妻にその殆どの負担が掛かる事となった。

そんな家族の支えがあるからこそ

会社・仕事というものに対して

社員が存分に力を揮えるのだという事を、

会社の経営者が考えてもいなかった事に、

理解しようとする態度すら無かった事に、

まあ、

立腹し、呆れたものです。

 

それでもそうして、

私の訴えに応じて、

給与明細には家族手当の欄が作ってもらえました。

 

 

三十年近くが経った。

今も尚、

この小さな会社は

連日連夜残業早出でギリギリ回っている。

その事自体は決して誉められた自慢出来る事ではないが、

それでもなんとか続けていられるのは、

ボスが守ってきてくれた伝統でもある

『 残業も休日出勤も100%つける 』 という、当たり前の事が、

内助の功として支えてくれる存在の人を納得させている

というのが、大きな大きな一つの要素であることは

間違いありません。

弊社は、

キツイけど、

ブラック企業ではないんだと思っています。

 

社員を大切にするという事は、

その家族も含めて思うことです。

『 家族手当 』 というのは

金銭的な事だけではなく、

その言葉そのものの意味です。

会社側に、上司に、

その気持ちが在るという事が

本当に大切な事だと思います。

 

 

私はいわゆる

『 現場叩き上げ 』 なので、

仕事というものは

数字上の損得だけではない事をよく知っています。

人の心、気持ちに鈍感な人間は

好きではありません。

 

 

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